2007年10月2日火曜日

ニジマスしか産まない代理ヤマメ

ほんとうに、こんな代理母が認められてよいものだろうか。

東京海洋大学が研究しているテーマとして、サバにマグロを生ませる研究プロジェクトがあるという。

確かに高級魚のマグロが安価で食卓にあがることは喜ばしいことである。マグロは、高速で泳ぎ続けなければ死んでしまうらしい。それは、停止してエラを動かして海水を体内に取り込むことができないから、泳ぎ続けて口から大量の海水を取り込みエラ呼吸しなければならないかららしい。従って、養殖するにしても広い養殖池が必要となるということである。加えて、マグロは卵を産むまでに4年前後を要するが、サバの場合は、2年で卵を産み、飼育には広い養殖所も不要だというわけである。

だから、サバにマグロを生ませようというのがこの研究プロジェクトである。

現在、人工孵化した親魚に再び産卵、孵化させる完全養殖は実現しているが、このよ養殖に必要な年数と養殖場所の合理化を図ろうというわけである。

このプロジェクトの実現は、東京海洋大学がヤマメにニジマスを生ませるプロジェクトを成功させたことにより、いよいよ現実味を帯びてきたというわけらしい。

これまでの人工孵化の技術では、ヤマメの孵化したばかりの稚魚にニジマスの始原生殖細胞を移植し、やがてそのニジマスの始原生殖細胞を移植されたオスのヤマメは、ヤマメの精子とニジマスの精子を持つようにあるらしい。つまり、ヤマメもニジマスも生まれてくるわけであり、むしろニジマスが生まれる確率は低かった。この始原生殖細部なるものは、細胞発生の初期のもので、精子になる可能性と卵子になる可能性の両者の可能性があるらしい。精巣内では精子になり、卵巣内では卵子になる極めて初期の細胞らしい。

一方、オスのヤマメの精巣内にある精原細胞をメスのヤマメに移植すると、精原細胞から卵が生産されることも実証されていた。

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(出所)東京海洋大学・科学技術振興機構、平成19.9.14発表資料

今回、このふたつの研究をガッチャンコした研究に成功したということらしい。不妊ヤマメにニジマスの精巣細胞を移植したところ、オスのヤマメには正常なニジマスの精子をつくり、メスは正常なニジマスの卵をつくり、さらにそれらの精子を卵をかけ合わせところ、これまた正常なニジマスが生まれたということです。

これまでの完全養殖は、同種の魚での世界であったものが、サバのような小魚種に黒マグロのような異なった魚を生ませることができるというのである。

しかも、クロマグロは卵を生むまでに4年も要したが、サバは2年でクロマグロを生んでくれることになる。

ヤマメは、自分の子供を産んでるつもりが、すべてニジマスなのである。

将来、サバが一生懸命サバを生んでいるつもりが、クロマグロばかりなのである。

人間のように望んで代理母になるのとは、あきらかに違う。

また、ある人は言うだろう。

スイカの苗は、丈夫な根をもつ他の野菜の苗に接木をして生産しているではないかと。また、ブタのイノシシを掛け合わせてイノブタもつくってきたではないかと。

仰るとおりではあるけれど、ほんとうにそれでいいのだろうかと思ってしまう。