2015年2月22日日曜日

20150222 気品高い美濃の銘香

  お線香といえば、香木。香木と云えば、蘭奢待(らんじゃたい)。ここ岐阜県美濃と言えば、織田信長。筍のような形をした蘭奢待が、正倉院に納められていて、信長はそれを時の天皇に所望し、手に入れたと聞いたことがあります。

 武士の頭領は、武功を挙げた家臣に所領をあたえなければならなものの、信長は茶器や茶道具を与えたりしたようで、本当に知恵者だったと思うのですが、さすがの信長も蘭奢待は誰にも分け与えなかったようです。

 美濃にちなんだお線香としては、「淡墨の桜」というものがあります。淡墨桜は、樹齢1400年以上の根尾村にある巨木なのですが、宇野千代が岐阜県知事、確か松野幸泰氏(?)に蘇生を嘆願して若い根を移植して延命に成功したという老木です。

 この淡墨桜が芽を出した頃と蘭奢待が日本にやってきた頃は、考えてみると、奇しくも同じ時代だと思います。

 この「淡墨の桜」(日本香堂)というお線香に加え、このほど「長良川」と「瑞龍(ずいりゅう)」(大島仏壇製作所、岐阜市殿町)というお線香を見つけました。いずれも気品がある香りです。後者の2つは、岐阜城のある金華山の伏流水で練り上げたもののようで、名実ともに美濃の芳香ということでしょうか。