日商岩井㈱は、過去、㈱ニチメンとの比較では上位に位置していたが、統合に際しての存続会社は㈱ニチメンであった。このことからしても、統合当時の日商岩井㈱がいかに厳しい経営環境にあったか窺い知ることができる。

その修羅場を潜り抜けた経営トップが、企業の社長に「社長とは」を語りかける。それは、社長と副社長とはまったく異なると言い切る文面にも、臨場感が感じられる。「会社は毎日つぶれている」とは、倒産件数の話ではない。会社というのは、社長次第でいつでもつぶれる存在であり、会社のベクトルは常につぶれる方向にあり、まずは維持することも容易なことではないという意味でのタイトルである。
社長が会社を維持していくためには、顔の表情は常に明るく、決断は毅然と、内面では細心の注意を払わなければならないということらしい。
このあたりのことが、いろんな体験をふまえて語られている。たとえば、2005年3月期において350件の資産・計6000億円のうち4300億円を特別損失として計上する決算が大詰めた最中、社内ルールを逸脱した銅・アルミ相場取引による160億円もの追加の損失が発覚。4300億円もの特別損失を発表して半年も経ない中での160億円の損失追加。これを発表すれば、さらに隠している損失があるのではないかとの同社に対する市場の不信がつのり、いよいよ立ち行かなくなるのではという修羅場にあっての経営トップの判断。当時のマスコミ報道では知ることのできない現場が、本の中で再現されている。
社長のこころえとしては、そんなに新しいことは書かれていない。むしろ、普通のことがかかれているのかもしてな。しかしながら、筆者が経験した実例をふまえて語られると、ごく普通のことの大変さを読者に納得させる。
一気に読むことができる。
