講談社・文芸文庫、丹羽文雄短編集「鮎 母の日 妻」を読んでみた。アマゾンで取り寄せた一冊である。
手にして驚いた。たかだか300ページ足らずの文庫本が、1470円なのである。ネットでよさそうなものをポンポンと選んでしまったことを後悔。
まず、「鮎」の短編を読む。分からない。内容が理解できないのである。鮎釣りの話が出てくるわけではない。母親の和緒、その息子の津田、母親を世話する旦那の守山の話なのである。舞台は岐阜。母・息子が鮎の魚田を食べるシーンがほんのチラリと登場する。それが「鮎」という短編であり、丹羽文雄が文壇で注目されるようになった一作だというのである。
さっぱり頭に入ってこない。
それは、酒を飲んでの帰宅途中だったからというわけでもない。
もう一度、読み返してみて、母親と息子、旦那の話だったのかということが分かる。
二度、読まなくはならない。だから、本代も二度読み価格となっている。変に納得してしまう。
守山が自殺をしてしまう。その葬儀には和緒は出ることができず、葬列を自宅の二階から息子と見送る。そんなことがあって、突然、和緒は「魚鉄」へいこうと息子を誘う。その魚鉄は、和緒が守山の世話を受けることを決めた割烹であるが、そこの自慢は鮎ではない。うなぎである。
息子は、母親が守山との思い出の場として誘ったのか、ただ単にうなぎが食べたかったのだろうかと思い巡らすが、うなぎを食べたいだけの移り気な母親に思いをいたすというお話である。
丹羽文雄の小説には、そうしたちょっと妖艶で身勝手な母親がよく登場する。
鮎シーズン開幕の意気が、なんだかナゲてしまった。
うなぎでも食べるか!